一般皮膚科
医療法人社団NSD
一般皮膚科
皮膚科を受診される患者さんに、とても多く見られる症状です。ブツブツや小さな水疱、赤みなどが混ざって現れ、痒みも伴うことが多いです。
湿疹は体の外からくる物質に対して体が反応して、その物質を追い出そうとして起こる皮膚の表面の炎症です。アレルギーが原因で起こることもありますし、刺激の強いものに触れたり、刺激自体は強くなくても乾燥によって皮膚のバリア機能が低下してわずかな刺激に耐えられずに炎症となってしまったり、汗が刺激になって起こることもあります。痒みを伴うことが多いですが、掻くと化膿や悪化を招き、なかなか治らなくなってしまいますので注意しましょう。
湿疹の治療は皮膚の表面で起きている炎症をとることです。ステロイドの塗り薬を使うことが多いです。ステロイドというと怖い、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、副作用が多いのは飲み薬のステロイドであり、塗り薬はほとんど体に吸収されません。ステロイドの塗り薬は1回あたり2週間程度の使用まででしたら副作用はほとんど出現しないですし、お子さんでも塗り薬の強さを調整して使用することができます。
痒みが強い場合は抗ヒスタミン薬の内服も併用します。抗ヒスタミン薬には第1世代のものと第2世代のものがあります。第1世代のものは眠気を起こすものが多いですので通常はあまり処方しません。第2世代のものは、眠気を起こさないものも多く、勉強や仕事の妨げになりません。また、妊婦さん、授乳婦さんでも問題なく使用できると言われているものもあります。ぜひ、気軽にご相談ください。
ニキビは、毛穴が詰まってニキビ菌が増えることで赤く腫れてしまいます。ニキビの治療の基本は毛穴の詰まりをとることとニキビ菌を減らすことですが、治療は数日では難しく、目に見える効果が出てくるのに短くても2週間ほどはかかります。毎日続けることで着実にニキビの数は減っていきますので頑張りましょう。
ニキビといえば思春期に出るイメージだと思いますが、大人になってから出る方も多いです。炎症を起こしてしまうと皮膚が凹んだり盛り上がったりと跡になってしまうことも多いですので、腫れてしまう前に早めに治療するのが大切です。
ニキビの原因は大きく3つに分けられます。
1. 男性ホルモンの作用で脂腺が増殖し、皮脂の分泌が過剰になる。皮脂が毛穴を塞いだり、皮脂自体が刺激となって炎症を起こす
2. 毛穴の角質が異常に増殖して毛穴が詰まる
3. アクネ菌が毛穴で増殖して炎症を起こす
思春期にニキビが増えるのは、男性ホルモンの影響で皮脂の分泌が増えることによります。生理前に顎やフェイスラインのニキビが悪くなるのもホルモンの影響と考えられています。大人のニキビは、睡眠不足、紫外線、ストレスや生活環境など、様々な要因がニキビの増悪因子になると言われております。
ニキビの治療は角質や皮脂による毛穴の詰まりを改善する、ニキビ菌が増えて起きた炎症を抑える、の2点です。クリニックで処方できるニキビの塗り薬は大きく分けて3つあります。それぞれ異なったアプローチでニキビに効果をあげます。
・アダパレン:角質の詰まりを改善
・過酸化ベンゾイル:角質の詰まり、ニキビ菌を改善
・抗菌薬:クリンダマイシン、ナジフロキサシン、オゼノキサシン(ニキビ菌を改善)
2つの薬を最初から混ぜたものもあります。
・デュアック配合ゲル:過酸化ベンゾイル+クリンダマイシン
・エピデュオゲル:過酸化ベンゾイル+アダパレン
2つの塗り薬を混ぜたものは効果が高く、1日1回塗ればいいので大変使いやすいです。上記の外用剤とともに、抗生剤内服やビタミン剤内服もニキビ治療に有効です。ニキビが出来たら、跡にならないように早めに治療しましょう。
水虫(足白癬)は皮膚糸状菌というカビが足の皮膚に入り込んでしまった状態です。水虫は高温多湿なところを好むため、靴を履いている時間が長い人、汗をかきやすい人、指と指のすきまが狭い人は特に注意が必要です。水虫はスポーツジムや温泉のマットなどで移りやすいですが、仮に水虫菌が足についてしまったとしても12時間以内に洗い流せば皮膚に住み着かない、ということが知られています。
足白癬の症状のあらわれ方は趾間型、小水疱型、角質増殖型の3つのタイプに分けられています。趾間型は最も多いタイプで、足趾の間が赤くなり小さい水ぶくれや皮むけができます。白くふやけたり、指の間が切れてしまうこともあります。耐え難いほどのかゆみがでることもあります。小水疱型は土踏まず、指の根元、足の縁に小さい水ぶくれができて、乾燥したり皮むけが起こったりします。角質増殖型は足の裏、かかと、足全体の皮膚などが硬くなったりざらざらしてきます。あかぎれになって痛みがでることもあります。
足の皮むけを顕微鏡で調べて白癬菌を確認することで足白癬を診断できます。足白癬は多くの場合、塗り薬の治療だけでよくなります。2-3週間ほど水虫の塗り薬をぬると足のがさがさは消えるのですが、その後すぐに薬をぬらなくなると、再発します。再発を防ぐために、長めに2ヶ月程度は塗ることをお勧めしております。
足白癬を数年放置すると爪にもうつります。爪にうつると塗り薬だけでは治療が難しくなります。ネイリンという飲み薬を3ヶ月内服していただきます。途中で副作用が出ていないか、採血で確認します。3ヶ月内服するとその後1年かけて綺麗な爪へと生え変わっていきます。
イボは、医学的には疣贅(ゆうぜい)と言い、ヒトパピローマウイルスの感染によって生じます。こども、大人問わず手や足の指、手のひらや足の裏に多くできます。最初は平たんで少し盛り上がっている程度ですが、時間とともにサイズが大きくなり、硬くなってきます。ウイルス性ですので、皮膚が直接接触することでうつります。ありふれた病気のため、どこでうつったか特定は難しいです。足のイボをさわっていて指にうつるなど、自分の中でも感染が広がります。
盛り上がりの中央に黒い出血点が見えればイボの診断になります。ウイルス感染により、イボの表面に血管が増え、その部分が赤黒く見えるのです。
液体窒素を使った冷凍凝固療法を行います。手のひらなど皮膚の薄いところであれば1回の治療で良くなることもありますが、足の裏や指など、皮膚の厚いところであれば1週間毎の治療を数ヶ月繰り返さなければ消えないこともあります。こまめに受診して治療しましょう。サリチル酸ワセリンの外用やヨクイニンの内服も治療効果を高めることができます。
当院ではプラズマ―ジュというプラズマ発生器を導入しております。プラズマ―ジュはプラズマ発生による熱エネルギーでしわやたるみの改善、二重まぶたの形成を目的とした機械です。この熱エネルギーの出力を変えることで、イボの治療にも用いることができます。痛みも軽度なので、局所麻酔は不要です。液体窒素のみで改善が乏しい方はプラズマを併用して治療を行っていきます。
難治性のウイルス性イボではラジオ波メスを用いた切除術を行います。液体窒素で改善が見られない場合やまめにクリニックを受診できない場合に選択することが多いです。爪のわきや足の裏など、液体窒素では治りが悪い場合が対象となります。局所麻酔を注入してから施術を行いますので、麻酔をするとき以外は痛みはありません。イボの周囲の正常に見える皮膚にもウイルスがすでに感染している可能性があり、切除しても再発をゼロにすることはできません。たとえ再発した場合でも切除でイボのボリュームが少なくなっておりますので、治療期間を短縮することができます。
茶色で表面ががさがさしている、境界明瞭なできもので、正式には脂漏性角化症と言います。最初は平らなのですが、時間が経つと盛り上がってきます。顔や頭に多発する場合もあれば、腕や足に数ヶ所だけある場合もあり、人により個数も大きさも様々です。皮膚癌と区別が難しいこともありますが、拡大鏡(ダーモスコピー)を使うことでたいていは区別できます。区別が難しい場合には切除して顕微鏡を使った検査を行います。
液体窒素を用いた冷凍凝固療法を行うと、1週間ほどで一部が取れます。通常1回ではなく何度か冷凍凝固が必要です。
ウイルス性のイボ同様に、老人性イボにもプラズマ照射が有効です。プラズマ発生による熱エネルギーで老人性イボをはがすことができます。痛みも軽度なので、局所麻酔は不要です。照射後、1週間ほどでイボが剝れてきます。
イボに厚みがある場合はラジオ波メスを用いるときれいに切除できます。局所麻酔の注射を行い、ラジオ波メスを使って浅めに削ります。ごく浅い傷になるので、1週間は化膿止めの軟膏を塗ってください。1週間後にはピンク色の皮膚がはり、傷はふさがっています。赤みがなくなって目立たなくなるまでには1-2ヶ月かかります。
単純ヘルペスウイルスが原因となり、小さな水ぶくれができる病気です。1型による口唇ヘルペスと2型による性器ヘルペスがあります。通常多くの方で、口唇近くの神経節の中に単純ヘルペスウイルスが潜伏しております。寝不足、疲労、風邪などによって免疫力が下がると増殖し、再発するのです。まわりが赤く、ピリピリとした痛みを伴います。
ヘルペスの治療は、「ファムビル」または「バルトレックス」という飲み薬を5日間内服します。塗り薬よりも飲み薬の効果が高いです。ピリピリ感のみ、もしくは水疱が出てすぐの早期に内服すると治りが早いですので症状に気づいたら早めにクリニックを受診してください。
性器ヘルペスで再発が頻回な場合(年に6回以上)の場合には毎日1錠飲み薬をのみ、再発する前に出現しなくなるという方法があり、「再発抑制療法」と呼ばれます。ヘルペスの再発が多くお困りの方はご相談ください。
一度、水ぼうそうにかかった人では、体の中の神経節というところに水ぼうそうウイルスが潜伏しています。この潜伏しているウイルスが帯状疱疹の原因ウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)となるのです。過労やストレス、寝不足などで免疫が弱った時に、ウイルスが増殖して、局所で痛みと水ぶくれを作るのが帯状疱疹という病気です。神経にダメージを与えながら広がるので、早めに治療しなければ水ぶくれが治まったあとでもピリピリした帯状疱疹後神経痛が残ってしまいます。
帯状疱疹の治療にはファムビルやバルトレックスという抗ウイルス薬を内服します。これらは1日3回飲むタイプです。アメナリーフという1日1回飲むタイプの薬もあり、腎機能が悪い方はこちらがお薦めです。いずれも治療期間は1週間です。飲み始めても2日ほどは皮疹が拡大することがありますが、薬が効き始めるのに時間がかかるためなので、心配する必要はありません。
水ぶくれがやぶれた場合にはよく洗ってこちらで処方する塗り薬とガーゼで保護してください。表面に細菌がつかないように1日1回はしっかり洗うことが大事です。
酒さとは顔がほてったように赤く見える赤ら顔の原因として、代表的な皮膚の病気です。顔の表面の細かい血管が拡張し、その周りに炎症が起こることで赤ら顔になり、また毛穴の周りも炎症を起こすとにきびのような赤いポツポツができます。特に鼻、両ほほなど顔の中央付近で目立ち、気温の変化などの影響を受けると赤くなりやすくなります。
完全に症状をなくすことは難しいですが、塗り薬とのみ薬でポツポツを、光治療で赤みや毛細血管拡張を治療することで症状をおさえることができます。酒さの治療では、このポツポツと赤み・血管拡張を2つの別々のものとして治療することが肝心です。
まず、ポツポツに対する治療ですが、塗り薬ではロゼックスゲルがあります。内服薬としては抗炎症効果を持つ抗生剤であるビブラマイシンが世界的に最もよく使われています。この2つをセットで用いることをお勧めします。血管拡張に関してはVビームレーザー照射を行い、血管の開きや赤みを抑えるのが有効です。通常ダウンタイムもなく、直後からお化粧可能です。1ヶ月毎の照射で5,6回行うことをお勧めしますが、まずは1度効果を実感してみてください。毛細血管拡張の所見が強い場合は保険適用での照射が可能で、その場合は3ヶ月あけての照射となります。
頭皮、背部、臀部、下腿、肘や前腕の外側といった特徴的な場所に、ガサガサとした厚いかさぶたが付着する、少し盛り上がった赤い斑点ができる病気です。皮膚だけではなく炎症性の免疫反応が亢進しているため、完治は難しく、症状が治まったり悪くなったりを繰り返す病気です。
乾癬の皮膚では、皮膚の細胞の供給と成長のサイクルが早くなってしまうために皮膚が積み重なって厚く盛り上がり、厚くなった皮膚がフケとなって剥がれ落ちます。症状が進むと大きい地図のような形になり、数も増えてきます。爪にも症状がでることがあり、爪にでこぼこができたり、爪が浮いたりと変形することがあります。皮膚や爪症状の他には、関節の痛みは変形をきたすこともあります。最近では、重症の乾癬があると糖尿病や高脂血症になりやすく、また動脈硬化が進みやすいために心筋梗塞や脳梗塞の危険性が上がることがわかっております。皮膚だけの問題ではなく、全身の問題と考えられています。乾癬を疑った場合には早く診断をつけ、症状をコントロールすることで、体全体の問題に対処することが大切です。
乾癬の治療には大きく分けて
・外用療法
・光線療法
・内服療法
・注射療法(生物学的製剤による治療)
の4つがあります。
注射療法は限られた大きい病院でしか行うことができませんが、外用療法・光線療法・内服療法は当院で行うことができます。大きい病院には通いにくい、といった方でも当院にはナローバンドUVBを備えていますので、頻繁に行う紫外線療法は通いやすい当院で行い、定期的に総合病院で乾癬の主治医の診察を受けるといったことも可能です。
治療の中心は外用療法です。ステロイドや活性型ビタミンD3の塗り薬を患部に塗る治療法です。ステロイドの塗り薬は炎症を抑える働きがあり、短期間で効果が現れますが、長い間使い続けると皮膚がうすくなったり、皮膚の感染症を起こしやすくなったりすることがあります。活性型ビタミンD3の塗り薬は、ステロイドの塗り薬と同程度の効果がありますが、効果が現れるのが遅く、2~3ケ月かかります。長期間使用しても皮膚が薄くなったり、皮膚の感染症がおこるといった副作用がないのが特徴です。最近はステロイドと活性型ビタミンD3が混ざった1日1回塗るタイプの塗り薬もあり、ステロイドの即効性と活性型ビタミンD3の長期的な効果の両方が期待できます。
皮疹の出ている面積が広い場合、塗り薬で効果が充分でない時には紫外線治療を行います。当院ではナローバンドUVBという特定の波長の紫外線を当てることができる装置を使います。回数を重ねることで効果が出て、硬さやガサガサとしてフケが減り、赤みが落ち着いていきます。週1、2回紫外線を当てると効果が出やすく、10回を目安に効果判定をします。保険適応で治療ができます。
チガソンやオテズラといったお薬を使います。チガソンはビタミンA誘導体で乾癬で起こっている皮膚のターンオーバーの亢進を調節する働きがあります。肝臓に負担がかかることがあったり、飲む量によって皮膚やくちびるなどの粘膜がカサつく副作用がでることあります。また、男女ともに服用中に子供ができると奇形を生じる危険があるので注意が必要です(飲み終わってから女性は2年、男性は6ヶ月避妊をする必要があります)。その他、オテズラという新しい薬が発売になり、他の飲み薬と同程度の効果がありますが副作用が少ないため、とても使いやすい薬です。オテズラは下痢や胃腸の不調を起こすことがあるので、少量から飲み始める手順が決まっていて、まずは2週間パックから開始します。
2010年以降に使われるようになった新しいタイプの薬です。乾癬の症状を引き起こしている免疫の異常にかかわる物質に直接働きかけて症状を抑えます。これまでの治療で効果が見られない方に使われる治療法で、定期的にレントゲンや採血で副作用をチェックする必要があるため、大きな病院でしか行えない治療です。重症の乾癬の場合は当院から東大病院に紹介し、これらの注射薬を検討してもらいます。皮疹が劇的に改善することが多いですが、3割負担でも1回数万円かかってしまい、金銭面での負担が大きいのが問題です。
手のひらや足の裏に、米粒大の膿が繰り返しできる皮膚の病気です。膿と一緒に赤い斑点や皮むけがあらわれます。小さな水ぶくれやかゆみ、爪の変形なども症状がでますし、時に胸肋鎖関節痛と呼ばれる、鎖骨を中心とした関節の痛みも合併します。
病気の原因としては扁桃炎、虫歯、副鼻腔炎、中耳炎といった病巣感染や、歯科金属などの金属アレルギーが関係している方もいらっしゃいます。また喫煙が病期を悪化させるとも言われています。もちろん、全員がそうではなく、はっきりとした誘因のない方もいます。
外用療法が中心で、内服療法、紫外線治療を組み合わせると効果的ですが長い期間にわたって良くなったり悪くなったりを繰り返します。皮疹が良くなるまでに平均5〜7年かかると言われています。病巣感染や金属アレルギーなどが明らかな場合は、それらを除去する治療を行う場合もあります。
外用療法としては、皮膚の新陳代謝の不調と免疫の異常を整える活性型ビタミンD3、炎症を抑えるステロイド、保湿剤を用います。内服療法としては炎症を抑える抗菌薬の飲み薬やビタミンA誘導体の飲み薬、紫外線療法としてはナローバンドUVBの照射が当院で行えます。乾癬同様に最近では生物学的製剤も保険で使えるようになりました。3割負担でも1回数万円かかりますが、効果は高いとされております。
円形脱毛症では直径数cmの脱毛斑ができます。自分の細胞が誤って自分の毛根を攻撃する状態となり、その結果、丈夫な毛が作れなくなり、毛が途中で切れたり抜けたりすると考えられています。ただ、毛穴自体は残っているため、治療が効いて丈夫な毛を作れるようになればまた正常の毛が生えてきます。脱毛に気付いたと来院される方が一番多いですが、美容室で円形脱毛症があると言われて来院される方もいらっしゃいます。
若い時期に発症することが多く、円形脱毛症の約70%の方は30歳以下で起こります。1箇所の場合もあれば複数箇所出てくることもあり、時には広範囲に及ぶこともあります。単発型、多発型、蛇行型、全頭型、汎発型にタイプが分かれ、髪の毛だけでなく眉毛や全身の体毛が抜けてしまうこともあります。精神的なストレス、自己免疫疾患、甲状腺疾患、アトピー性皮膚炎のある方では円形脱毛症が起きやすいと報告されております。免疫のバランスの不調が原因となる病気との関連が多いようです。
円形脱毛症では、攻撃を受けた毛根が丈夫な毛を作れないため、毛が切れやすくなります。拡大鏡で拡大してみると円形脱毛症に特徴的な見え方があり、診断することができます。円形脱毛症の診断で重要なのは他の脱毛をきたす疾患を除外することです。自己免疫疾患、甲状腺疾患などは採血で調べることができます。時にお子さんが自分で自分の毛を抜いてしまう抜毛症の場合や、頭部白癬、頭皮湿疹のこともありますので丁寧な問診と診察が重要です。まずは診断をつけることが大切ですので、ご相談ください。
当院では以下の治療法を組み合わせて治療をしています。
炎症や免疫機能を抑える効果のあるステロイドの塗り薬で、毛根に向かって起こっている炎症を抑える目的で使用します。円形脱毛症の治療ガイドラインでもどのタイプの円形脱毛症にも推奨をしている治療です。
炎症や免疫機能を抑える効果のあるステロイドを、脱毛斑に直接注射する治療法です。症状が改善しない単発型、および多発型の大人の方の円形脱毛症に対して使われることがあります。発毛効果は高いですが、ステロイドの副作用で皮膚がやや陥凹する(へこんでしまう)ことがあります。注射の痛みはありますが、効果の高い治療です。
16歳以上の脱毛面積が25%以上の進行期(発症3〜6ヶ月で病変部の毛が簡単に抜けたり、病変内に切れた毛があるなど進行している症状がある時)に推奨される治療法です。
血管拡張作用により毛根への血流を増やして発毛を促します。
液体窒素を脱毛斑にあて、毛根を攻撃している免疫細胞の異常な働きを抑えて、毛の再生を図ります。
ほくろは母斑細胞というメラニンを作る細胞が増えてできる皮膚の良性の出来物です。母斑細胞の数やメラニンの量によって、平坦なものや盛り上がっているもの、色も黒色から濃い茶色、薄い茶色、肌色まで見え方は様々です。良性といっても腫瘍細胞はゆっくりと増殖しますので、年単位で大きくなりますし、平坦だったほくろが時間とともに盛り上がってくるということもあります。以前はなかったのにほくろができている、最近ほくろが盛り上がってきた、と受診される方が多いです。当院での治療法はラジオ波メスもしくはくり抜き法やメスによる切除縫縮になります。
ラジオ波のエネルギーでほくろを削りとって治療します。注射で局所麻酔を行い、その後、ラジオ波メスでほくろを削り取ります。ほくろのあった場所は直後は擦り傷となりますが、1~2週間後には傷がふさがります。その後、しばらく赤みのある状態が続きますが、通常3~6ヶ月でまわりの皮膚と同じ色に戻っていきます。その際、紫外線にあたるとその場所だけ日焼けが目立ちやすくなりますので紫外線は避ける必要があります。
直径1mm~6mmの円形の型抜きで皮膚をくり抜くトレパンを使って皮膚のできものを取ります。小さな穴をあけるだけですので、傷を最小限におさえることができる方法です。通常、3mm以下の傷ですと整容面を考えて傷の皮膚縫合を行いません。4mm以上ですと表面を2、3針縫合します。
注射で麻酔を行い、メスを使ってまわりの皮膚を紡錘形(ラグビーボールの形)に切り、皮膚を縫って傷を閉じます。縫った糸は1週間後に抜糸をします。顔でもほくろが大きかったり、体のほくろはラジオ波メスでは痕が残りやすいので、そのような場合は切除縫縮を行います。
上記以外では、プラズマによる熱損傷でほくろをはがす方法もあります。場所や大きさを考えて最適な方法を提案します。どのようなほくろでも気軽にご相談ください。まれに皮膚癌である悪性黒色腫や基底細胞癌がほくろに見える時があります。ダーモスコピーという拡大鏡を用いて、しっかりと術前に判断します。少しでも皮膚癌の可能性が残る場合は、病変の一部を病理検査に提出して、良性か悪性かの診断をしっかりつけることをお薦めします。
皮膚の下に毛穴の袋ができ、中に角質が溜まる出来物です。出来物を押すと中の角質が出てくることもあります。体中どこにでもできます。ニキビが腫れるのと同じように、時に炎症を起こして腫れることがあります。悪いものではないですので、放っておいてもよいのですが、見た目や匂いを気にして切除を希望される患者さんが多いです。
内服や外用剤で根治することはできず、手術によって切除します。当院では通常くり抜き法といい、粉瘤の中心をくり抜いて、その穴から袋を取り出す方法で手術を行っています。この方法を用いることで、大きく皮膚を切って袋を取り出すよりも傷を小さくすることができます。粉瘤が大きい場合や皮膚の深いところにある場合には通常のメスを用いた切除術を行います。診察終了間際や混雑時以外であれば当日の手術に対応できます。翌日に創部の確認、1週間後に創部の処置にご来院いただきます。
巻き爪とは、足の指にある爪の両端の先端部が、大きく内側に弯曲した状態を言います。負担のかかりやすい親指の爪が巻き爪になることが多いです。巻き爪が進行すると、皮膚に曲がった爪がどんどん食い込み、次第に激しい痛みを引き起こすようになります。これが陥入爪です。皮膚に爪が陥入するとその部分の皮膚が化膿しやすいですし、肉芽と呼ばれる赤く盛り上がった出来物ができることもあります。
巻き爪の治療は形状記憶合金ワイヤーを用いた爪の矯正です。ワイヤー法を行う際は爪にワイヤーを引っかけるため、爪がある程度長い必要があります。当院では巻き爪マイスターを用いた巻き爪治療を行っております。爪の白い部分が2mm以上あればワイヤーを固定できますので、爪を伸ばした状態でお越しください。費用は自費で6000円となります。注意点ですが、爪が脆弱化している場合は、ワイヤーによって爪のひび割れや破損を引き起こすおそれがあります。また、ワイヤーが装着された爪の表面を医療用のテープなどで保護する必要があります。テープは1日1回入浴時に取り換えてください。爪に大きな負荷がかかるスポ―ツ(水泳、サッカーなど)はできる限り控えてください。
陥入爪の治療は軽度であればテーピング法を行います。粘着力の強いテープを使って、爪が刺さっている部分の皮膚を爪から遠ざけるように引っ張ります。ご自宅で継続的に行っていただきます。肉芽ができている場合は、爪の食い込みを解除したうえで、肉芽に対して液体窒素治療を行う、もしくはラジオ波メスで肉芽を局所麻酔下に切除します。